坂田涼太郎構造設計事務所


Ryotaro Sakata Structural Engineers

WORKS

笹島高架下オフィス

竣工年  :2019年
所在地  :愛知県名古屋市
用途   :事務所
構造   :木造
階数   :地上2階
延床面積 :985.82㎡
建築設計 :MARU。architecture
掲載誌  :日本建築学会作品選集2024
      新建築 2022年5月号
      GA JAPAN 176
受賞   :ウッドデザイン賞2022奨励賞
      木の建築賞(キノチカラ賞)

 名古屋駅近くの新幹線高架下に建つ木造のオフィスである。本建物の特殊性は、高架と干渉しないように建てるのではなく、高架の一部を2階建ての木造建物に内包していることである。 当然、高架はこの建物のために建っているのではない。高架の柱は緩いカーブ上にあり直交グリッド上にはない。中間梁にはハンチがあり、地中には既設のフーチングがある。在来線側の擁壁と高架柱との間は最小で250mmという狭さである。加えて、地震時に互いの架構が干渉しないよう所定のクリアランスを取らなければならない。このような条件のもと高架との関係を考えながら部材配置を行う構造計画となった。 
 建築計画は在来線を背にして道路側にオープンな空間が配置され、スキップフロアやオーバーハングがある。見通しを遮る耐力壁はできるだけ在来線側に配置する方針とし、短手方向には約1.5mピッチに、長手方向は在来線側外壁沿いに設けた。道路側は高架の柱・梁に添わせるように900せいの集成材をGIRによって接合したラーメン架構とし、開放的な空間を実現した。
 最大スパン6m、跳ね出しが2.6mに対しせいの大きい梁が要求されるが、高架の中段梁があるために、高さ方向の寸法がタイトになる。そこで、LIVELY WOODと呼ばれる高剛性・高耐力の木質材料を使用した。LIVELY WOODはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を集成材の上下端に配置した新材料である。剛性や耐力が比較的小さいスギでも各値とも3倍以上となるため、梁せいを半減することができた。

撮影 :関 拓弥